「Cassette Week Japan 2024」インタビューを須永辰緒さんに!(Updated)


2024/10/06

LOGO

須永辰緒ソロユニットSunaga t experience七作目のアルバムがカセットにて発売決定!
Cassette Weekでは須永辰緒さんにインタビューをさせていただきました。


--はじめに「CASSETTE WEEK (旧 CASSETTE STORE DAY)」という催しはご存知でしたか?

● (須永辰緒) CASSETTE WEEKというイベントがあると聞いてびっくりしました。専門店もできたりしてカセットがじわじわ売れているって話は聞いたことあるんですけど、アウトプットとしてカセットを使うことがほとんどなくなっていたので。あとはカセットテーブDJというのを奇遇にも見ることがあったので、ちょっと面白いかもと思っていたタイミングでしたね。

--カセットテープとの出会いはいつ頃でしょうか?

● (須永辰緒) 中学生の時にラジオの洋楽番組を録音していたのが最初です。当時はラインじゃなくて、ラジオの前にラジカセを置いてそのまま録音するんです。だから「ご飯だぞ!」なんて言われるともう頭来て(笑)、その声も入ってしまったり。 中学生ぐらいからLPを買うようになるんですけど、お小遣いで買える量って決まっているじゃないですか?運のいいことに洋楽好きの友達がいたので、みんなで買ったレコードを一緒に聴いていました。例えばLed Zeppelinのワンを僕が買って友達がツーを買ったら、お互いにテープに録音して交換するんです。友達と折り合いがつけばメタルテープを使って交換したりとか…ちょっと高かったですけどね。 カセットはそれからの付き合いで、中高生ぐらいまではカセットデッキは必ず近くにありました。大人になって一人暮らししてからも最初の頃はよく聴いていました。

--友達とカセットを交換し合う中で、自作のテープを作ることはありましたか?

● (須永辰緒) それはもう必須で(笑)いろんな人にテープを作ってと言われて、一曲ずつ録音してポーズして次の曲を流して、コンピレーションを作っていました。しょっちゅう頼まれていたし、頼まれてもいないのに作っていたし。ドライブ用にテープを作ったり、海行く用に作ったり…。毎日のようにやってたな(笑)自分だけのコンピを作って人にあげるっていうのは、それがDJの原点かもしれないなと思うんですよね。


 (撮影:平間至)

--カセットテープが登場して、自分でダビングするという楽しみが増えましたよね。DJを始めた以降にもカセットテープには触れていましたか?

● (須永辰緒) 僕は以前からしょっちゅうニューヨークに行っていて、ニューヨークのKISS FM、80年代だとRed Alertや90年代だとStretch Armstronの番組や、メロウなソウルを流していたQUIETSTORMなどが人気で、そのラジオ番組をカセットテープにダビングしたものが街に溢れていたんです。それを何十本もまとめて買って友達のお土産にしたり、自分で聴いてDJの新しいテクニックを覚えたり、80年代は特に、カセットテープで勉強した時代がありましたね。カセットがそれだけ身近な存在だったっていうこともあります。

--須永さんは90年代特に数多くのMIX TAPEをリリースされていましたが、リリースのきっかけはどのようなタイミングだったのでしょうか?

● (須永辰緒) 一番始めは、Organ Barを始める前に働いていた友達のレコード屋で販促物として作って配ったりはしていました。 Organ Barを始めた頃はお客さんは全然来なかったんですが、その時にでも熱心に来てくれる人たちがいて、その中にいた当時のDMRのスタッフに「普段のDJミックスをそのままパッケージにしてMIX TAPEを出しませんか?」って誘われたんです。それでDMRから最初に発売されたのが『Organ b. SUITE No.1』です。だからその時そのままかけていた曲順でのライブミックスが入っています。

--今でも伝説的なMIX TAPEですが、当時の反応はどうでしたか?

● (須永辰緒) 『Organ b. SUITE』って名前だから、Organ Barの客足がとんでもないことになりました。平日でも週末でも、特に『Organ b. SUITE』のイベントはもう全国から人が来てくれて、全然入れないんですよ。あんなに分かりづらい場所で目立つ看板もないのに、よくみんな来られるなと思うぐらい。それで実感したのが一つと、あと周りの友達が地方に行って車でアテンドしてもらっていると必ず『Organ b. SUITE』が流れているので、何とかしてくれって苦情を受けたこともあります(笑) またMIX TAPEのリリースって啓蒙活動の一環でもあったんです。その当時誰も知らない曲をかけて馴染んでもらえるのって、ちょっと時間がかかったんです。なのでMIX TAPEに先に収録して、聴いてフロアに来てもらえたらもっと楽しめるんじゃないかと思って。この曲なんだ?って驚かれながら、実際現場に来てジャケット見せてあげるような、そういうフレンドリーな現場は結構ありました。

--80年代から第一線で活躍されていますが、今年10月に開催するDJ 40周年&誕生60年記念フェス「STE100」について、20周年、30周年と継続開催されるきっかけはあったのでしょうか?

● (須永辰緒) いや、後輩たちにせっつかれているんですよ(笑)20年だからやらなきゃまずいだろ、30年だからやらなきゃまずだろって。さすがに40年はないだろうと思っていたんですけど、気が付いたらもう外枠が埋まっていたという状況で(笑)もうだいぶ固まっていて、出演者ぐらい俺にも決めさせてよっていうくらい決まっていて…。まあ普段から後輩を連れてとことんふざけて遊び倒しているのが今となったら仇になったかなと思って。慕われてきた結果が40周年に回っちゃいましたね。

--後輩世代に慕われているんですね。最近はレコードに続きカセットもブームと言われて若い世代が手にすることが増えていますが、どのような印象がありますか?

● (須永辰緒) カセットって一旦ほとんど見なくなりましたが、それが今新しい形で復帰して、若い子は躊躇なく取り入れているところがある。僕らのようなノスタルジック世代じゃなくて、若い子から面白いカセット文化を発信してもらって、もっとカセットに興味を持ってくれたら、プレーヤーを作ってみようかっていうメーカーも増えるかもしれない。そういう流れができた時に、ブームというのは若い子の手によって、若い子の感性によって出来上がるのかもしれない。だからっていうわけじゃないけど、今回一枚僕のアルバムも参加させてもらったんですけど、若い子に響くと嬉しいなと思います。


 (撮影:平間至)


--CASSETTE WEEKを通して、より広い人たちにカセットの魅力を知ってほしいと思っています。新しくカセットに触れる皆さんへお伝えしたいことはありますか?

● (須永辰緒) 逆に若い人たちから僕に色々おすすめを教えてほしいですね。しばらく遠ざかっちゃった分、またリスタートしているんですよ。だからカセットに慣れ親しんでいる若い子からこんな新譜があるよ、あのカセットが再発されたよ、とか情報も教えてもらえたらなと思います。そのぐらい多分、若い子の方が新鮮な聴き方を知っているのかもしれないですね。

このインタビュービジュアルは、アナログ愛好家で写真家の平間至氏により、渋谷の音楽を楽しむBAR (BLOW UP)および平間写真館にて撮影されました。